バギーと車椅子の違い|制度に「バギー」という名前はありません

「バギーですか、車椅子ですか」と聞かれて、答えに詰まったことはありませんか。

先に答えを書きます。「バギー」は、制度の上では存在しない名前です。厚生労働省が定めている補装具の種目に、バギーという項目はありません。

つまり見た目の呼び分けであって、制度としてはどちらも車椅子です。ここが分かると、手続きでも、外出先でも、話が通りやすくなります。

この記事でわかること

ベビーカーと、どこが違うのか

見た目は似ています。似ているから、困ります。中身はまったく別のものです。

ベビーカーバギー(子ども用車椅子)
目的まだ歩けない子を乗せて運ぶこれがないと移動できない
姿勢自分で座れる前提座位が保てない子のために、体を支える
調整基本的にできない座面の奥行き、足台の高さ、背もたれの角度をその子に合わせて作る
折りたたみできる容易ではない
使う期間数年成長に合わせて作り替えながら、長く
お金自費補装具費支給制度の対象になります

座面の下に人工呼吸器などを積める作りになっているものもあります。乗り物というより、その子の体の一部に近いものです。

「畳んでください」と言われたとき

電車やバス、お店で言われることがあります。悪気があって言われるわけではなく、ベビーカーに見えているだけです。

このとき使えるものがあります。国土交通省が「知ってください 子ども用車いすのこと」というポスターを出しています。そこにはっきり書かれています。

折りたためません これは車いすです。座る姿勢が取れないなどの身体的特徴から、車体を折りたたむことは容易ではありません。

国土交通省「知ってください 子ども用車いすのこと」

重量があります 車いす自体の重量に加え、医療機器を搭載している場合もあります。車体を持ち上げて大きな段差などを越えることは非常に困難です。

国土交通省「知ってください 子ども用車いすのこと」

同じポスターに、「病気や障害が理由で、”これがないと移動できない”子どもたちが使用しています」という説明もあります。

言い争う必要はありません。「これは車椅子です」と一言伝えれば足ります。それでも伝わらないときのために、国のポスターがあることを知っておくと気持ちが違います。

もうひとつ、ポスターの隅に大事な但し書きがあります。

※ベビーカーを車いすと同じ目的で使用している場合もあります。

国土交通省

市販のベビーカーを使っていても、車椅子として使っているなら同じです。バギーを作る前の時期は、みんなここを通ります。「専用のものじゃないから」と遠慮しなくて大丈夫です。

子ども用車いすマーク

見た目で分からないなら、書いておけばいい、という考え方です。国土交通省のポスターにも紹介されています。

「子ども車いす」や「子ども用車いす」などと表示したマークを付けている方もいます。

国土交通省

ここで知っておきたいのは、これは1種類ではないということです。ベビーカーマークのように国が統一したものではなく、団体や店が作ったマークがいくつもあります。

比べると分かりやすいです。ベビーカーマークのほうは、平成26年3月に協議会で統一され、平成27年5月にJIS化されています。子ども用車いすのマークには、まだそれがありません。

だから「マークを付けていれば通じる」とは限りません。付けておく意味はありますが、言葉で伝えるほうが確実です。

制度の上では、何という名前なのか

左は「バギーが欲しい」と言う場合で、窓口で話が止まったり、ベビーカーに見えて畳むよう言われたりする。右は車椅子と伝える場合で、車椅子か姿勢保持装置として申請でき、補装具費支給制度の対象になる。

厚生労働省が定める補装具の種目は、こうなっています。

  • 身体障害者・身体障害児に共通 義肢、装具、姿勢保持装置、視覚障害者安全つえ、義眼、眼鏡、補聴器、人工内耳、車椅子、電動車椅子、歩行器、歩行補助つえ、重度障害者用意思伝達装置、車載用姿勢保持装置
  • 身体障害児のみ 起立保持具、排便補助具

この中に「バギー」はありません。申請するときは「車椅子」、体を支える部分が主なら「姿勢保持装置」として扱われます。

窓口で「バギーが欲しいのですが」と言うと話が止まることがあります。「座位が保てないので、姿勢を支えられる車椅子が必要です」と、状態から伝えるほうが早いです。

ついでに覚えておくとよいのが「車載用姿勢保持装置」です。車に乗せるときの姿勢を保つためのもので、これも補装具の種目に入っています。車で移動している家庭は、対象になるか聞いてみてください。

お金のこと

補装具費支給制度を使います。原則1割負担で、世帯の所得に応じた上限が決まっています。

所得区分負担上限月額
生活保護世帯0円
市町村民税非課税世帯0円
市町村民税課税世帯37,200円

ここで、いちばん伝えたいことがあります。

2024年4月から、障害児の補装具費には保護者の所得による制限がなくなりました。以前は、所得が高いと支給の対象外になることがありました。厚生労働省の現在の説明でも、対象外になるのは「障害者又はその配偶者」の納税額が一定以上の場合と書かれていて、障害児の保護者は出てきません。

昔「所得が高いので対象外です」と言われた記憶のまま、あきらめないでください。いまは違います。制度のくわしいところは障害児の福祉用具・グッズに書いています。

作るまでの流れ

  1. 主治医に相談する 意見書を書いてもらいます
  2. 業者(義肢装具士)と会う 病院やリハビリの場で紹介されることが多いです
  3. 市区町村に申請する 見積書と意見書を出します
  4. 判定を受ける 身体障害者更生相談所などの判定または意見に基づいて決まります
  5. 採寸・仮合わせ・完成 その子に合わせて作るので、時間がかかります

申請してから手元に届くまで、数か月かかるのが普通です。「小さくなってきたな」と思ったときには、もう動き出しておいたほうがいいです。

乗り物での扱い

制度の上で車椅子だということは、乗り物でも効いてきます。

  • 新幹線 バギーや車椅子は、特大荷物スペースの予約が要りません。車椅子スペースの取り方は新幹線に車椅子・バギーで乗るに書きました
  • 飛行機 搭乗口まで使って、そこで預けるのが一般的です。予約のときに大きさと重さを伝えておきます
  • バス 折りたたみを求められたときは、車椅子であることを伝えてください

よくある質問

手帳がないと作れませんか

補装具費支給制度は、身体障害者手帳を持っていることが基本になります。ここは福祉サービスと違うところです。まだ手帳がない場合は、先に手帳の申請を進めてください。

成長したら作り直せますか

作り直せます。補装具には耐用年数の目安がありますが、子どもの場合は成長を考えて、年数を待たずに認められることがあります。「まだ年数が経っていないから無理」と自分で判断しないでください。

バギーと座位保持装置、どちらで申請するのですか

移動が主な目的なら車椅子、姿勢を支えることが主な目的なら姿勢保持装置、という分け方になります。実際には、業者と主治医が状態を見て決めます。こちらで決める必要はありません。

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