介護リフト(クレーン)の選び方|賃貸でも置けます

子どもが大きくなると、抱えるのが限界になります。

ベッドから車いすへ。車いすからお風呂へ。1日に何度もあることなので、腰が先にだめになります。

そこで出てくるのが介護リフトです。「クレーン」と呼ばれることもあります。調べてみたら、思っていたのと違う結論になりました。

  • 賃貸でも置けます。工事の要らないタイプがあります
  • 制度で買えます。補装具ではなく、日常生活用具のほうです
  • 借りるより、買うほうが圧倒的に安いです
この記事でわかること

3種類あります。賃貸なら、答えは1つです

どんなものか賃貸給付
据置式部屋の中にやぐらを組む。工事不要○○
床走行式キャスターで床を走る。部屋をまたげる○○
レール走行式(天井)天井にレールを付けて、部屋の隅まで動ける✗✗

ここが、いちばん大事なところです。天井走行式は、賃貸で置けないだけでなく、制度の対象からも外れています。

日常生活用具の「移動用リフト」には、こう但し書きが付いています。

介護者が重度身体障害のある方を移動させるにあたって、容易に使用できるもの(ただし、天井走行型等住宅改造を伴うものを除く)。

日常生活用具給付等事業「移動用リフト」

つまり賃貸で置けるものと、給付が出るものが一致しています。「賃貸だから選択肢が狭い」と思っていましたが、そうではありませんでした。

据置式は、本当に工事が要りません

据置式には、固定のしかたがいくつかあります。

  • ベッドの重さで押さえるタイプ ベッドの下に土台を敷いて、ベッド自体の重さで固定します。長さと幅を、使っている介護ベッドに合わせて調整できます
  • 突っ張りで固定するタイプ 床と天井で突っ張ります。釘もネジも使いません。ユニットバスにも設置できます

どちらも取り外して別の場所へ移せます。引っ越しても持っていけますし、原状回復の心配もありません。

お風呂用のものはアームとモーターを取り外せる製品があります。家族がお風呂を使うときに邪魔になりません。ここは実際に使ううえで大きいところです。

床走行式を選ぶときの注意

キャスターで動かせるので自由に見えますが、家の中を走らせるには条件があります。

  • 敷居や段差を越えられません
  • 厚いカーペットや畳では、重くて動きません
  • ベッドの下に脚が入るかを確認してください。入らないと、ベッドに近づけません

「1台で家じゅう使える」と思って買うと、結局1部屋でしか使わなかった、ということが起きます。

※イメージ。床走行式のリフトと吊り具(スリング)

制度で買えます。補装具ではありません

ここを間違えている方が多いところです。車いすやバギーは「補装具」ですが、リフトは「日常生活用具」です。窓口も、申請の流れも別です。

日常生活用具は品目も金額も市区町村が決めます。だから、住んでいる場所でかなり違います。

自治体基準額対象年齢耐用年数
東京都江東区257,500円下肢・体幹1・2級3歳以上4年
京都市424,000円1・2級全年齢4年
さいたま市424,000円———

16万円以上ちがいます。まず、ご自分の市区町村の基準額を調べてください。同じものを買うのに、自己負担が変わります。

負担は原則1割。18歳未満の所得制限は撤廃されました

自己負担は原則1割で、世帯の所得に応じた月額の上限があります。

そして大きな変更がありました。江東区の案内にはこう書かれています。

令和6年4月1日より、18歳未満の児童の日常生活用具給付に対する所得制限は撤廃されました。

東京都江東区

2024年4月から、子どもについては保護者の所得で切られなくなりました。補装具と同じタイミングです。以前に「所得が高いので対象外」と言われた方も、いまは違います。

江東区の基準額で計算すると、自己負担は約25,750円です。

借りると、全額自費になります

「まず借りて試したい」と思うところですが、ここに落とし穴があります。

障害のある子どもには、介護保険が使えません。介護保険の福祉用具貸与なら1割で借りられますが、それは介護保険の対象者の話です。子どもは全額自費になります。

実際の金額です(ダスキンヘルスレントの例)。

機種月額(自費)介護保険1割なら
床走行式電動介護リフト KQ-78115,000円1,500円
つるべーBセット(据置式・ベッド用)19,000円1,900円
つるべーF1セット(入浴・トイレ用)35,000円3,500円
つるべーF2セット35,700円3,570円

月15,000〜19,000円です。給付で買ったときの自己負担が約25,750円だとすると、2か月弱で逆転します。

しかも耐用年数は4年なので、4年ごとに買い替えの申請ができます。レンタルを4年続けると72万円以上です。

結論として、買うほうが有利です。ただし「合わなかったら困る」という不安は残るので、次の項を読んでください。

買う前に、必ず試してください

リフトは置ければ使えるというものではありません。失敗しやすいのはここです。

  • 部屋に収まるか やぐらを組むので、思ったより場所を取ります。ベッドのまわりに人が立つ隙間も要ります
  • 天井の高さと強さ 突っ張り式は天井で押さえます。点検口や照明の位置も見てください
  • 子どもが受け入れるか 吊り上げられるのを怖がる子がいます
  • 親が一人で操作できるか 二人がかりでないと使えないなら、意味が半分になります

業者にデモをお願いしてください。家に持ってきてもらって、実際に置いて、実際に乗せるのが確実です。申請の前にやってください。

吊り具(スリング)は別扱いです

見落としがちなところです。本体と、体を包む吊り具は別になっていることが多いです。

吊り具は体格と、何をするかで形が変わります。トイレ用は股の部分が開いている、入浴用は水に強い素材、といった具合です。

本体と一緒に相談してください。本体だけ給付されて、吊り具が合わずに使えない、というのがいちばんもったいないです。

窓口で、こう言ってください

市区町村の障害福祉の窓口です。補装具とは別の窓口のことがあります。

日常生活用具の「移動用リフト」の基準額と、対象になる条件を教えてください

聞いておきたいのは、この4つです。

  1. 基準額はいくらか
  2. 何級から対象か、何歳からか
  3. 吊り具は別に申請できるか
  4. 医師の意見書は要るか

同じ表に、ほかにもありました

日常生活用具の一覧は、リフト以外も見る価値があります。知らないだけで対象になっているものが並んでいます(金額は江東区の例)。

品目基準額年齢など
カーシート(座位を保てない方)60,000円3歳以上13歳未満・耐用3年
特殊寝台162,800円学齢児以上・耐用8年
入浴担架133,900円3歳以上・耐用5年
特殊マット(じょくそう防止)100,000円3歳以上・耐用5年
入浴補助用具90,000円3歳以上・耐用8年
紙おむつ(おしり拭き含む)12,000円3歳以上
訓練いす33,100円3歳以上18歳未満

カーシートに注目してください。年齢の上限が13歳未満です。車での座らせ方に困っている方は、早めに聞いてください。車の話は障害のある子とレンタカーに書きました。

品目も金額も自治体で決まるので、ここに無いものが、お住まいの市区町村にはあるかもしれません。一覧をもらって、上から全部見てください。

まとめ

  • 賃貸でも置ける。据置式は釘もネジも使わない。引っ越しても持っていける
  • 天井走行式は、賃貸でも制度でも外れる。最初から考えなくていい
  • 補装具ではなく日常生活用具。基準額は自治体で16万円以上ちがう
  • 2024年4月から、18歳未満は所得制限なし
  • 子どもは介護保険が使えないので、レンタルは全額自費。買うほうが2か月弱で逆転する
  • 申請の前に、家でデモをしてもらう

抱えられなくなってから探すと、その間ずっと腰に来ます。「そろそろきついな」と思った時点で聞きに行ってください。

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