申請の相談でいちばん多いのが、この2つです。
- 短下肢装具 足首から下を支える装具。歩行や立位の安定のために使います
- 保護帽(頭部保護帽) 転倒したときに頭を守る帽子
そして、分かりにくい最大の理由がここにあります。この2つは、別の制度です。
まず、どちらの制度か見分ける
| 短下肢装具 | 保護帽 | |
|---|---|---|
| 制度 | 補装具費支給制度 | 日常生活用具給付等事業 |
| 決めるのは | 国(種目も基準額も全国共通) | 市区町村(品目も金額も自治体で違う) |
| 判定 | 更生相談所などの判定が入る | 市区町村の判断 |
| 医師の意見書 | 要ります | オーダーメイドなら要ることがある |
| かかる時間 | 長い(数か月) | 比較的短い |
「補装具の窓口に保護帽の相談に行ったら、別の課に回された」というのは、これが理由です。間違えているわけではなく、本当に別の制度です。
2つの制度の違い全体は障害児の福祉用具・グッズにまとめました。
短下肢装具(補装具)
作るまでの流れ
- 主治医に相談する リハビリの先生から話が出ることが多いです
- 義肢装具士と会う 病院やリハビリの場で紹介されます
- 医師に意見書を書いてもらう ここに条件があります(下に書きます)
- 市区町村の障害福祉の窓口に申請する 意見書と見積書を出します
- 判定を受ける 更生相談所などが要否を判定します
- 採型・仮合わせ・完成
- 適合判定 できあがったものが合っているかを見ます
先に作ってもらってから申請すると、お金が出ません。必ず申請が先です。ここを間違えると全額自費になります。
意見書は、誰でも書けるわけではありません
ここでつまずく方が多いところです。かかりつけの先生なら誰でもいい、ということはありません。
意見書を書けるのは、次のいずれかの医師です。
- 身体障害者福祉法 第15条第1項にもとづく指定医
- 指定自立支援医療機関の医師
- 国立障害者リハビリテーションセンター学院の、補装具関係の適合判定医師研修会を修了した医師
相談の最初に、「先生は補装具の意見書を書けますか」と聞いてください。書けない場合は、書ける先生を紹介してもらうところから始まります。ここを後回しにすると、まるごと時間を失います。
判定には2つのやり方があります
- 直接判定 本人が更生相談所や巡回先へ行って、直接見てもらう
- 文書判定 医師の意見書と処方箋の内容だけで判定する
どちらになるかは、こちらでは選べません。種目と状態によって決まります。
ただし直接判定だと、その日に出かける必要があります。巡回の日程は決まっているので、申請のときに「直接判定になりますか」「次の巡回はいつですか」と聞いておくと、予定が立てやすくなります。
子どもは、短い期間で作り替えられます
ここがいちばん知られていないところだと思います。
短下肢装具の耐用年数は、大人だと3年です(型式によって、硬性で1年6か月、軟性で2年など違いがあります)。
でも18歳未満は別です。
| 年齢 | 使用年数の目安 |
|---|---|
| 18歳未満 | 4か月〜1年6か月 |
| 6歳〜14歳 | 1年 |
| 15歳〜17歳 | 1年6か月 |
成長が速いことを前提に、短く設定されています。小さい子だと4か月ということもあります。
つまり「3年経っていないから無理」ではありません。合わなくなったら、その時点で相談してください。足が大きくなって当たっている、歩き方が変わった、という状態で我慢させる必要はありません。
実感として、装具と靴は通りやすいです
うちの場合、装具と靴の作り替えで断られたことはほとんどありません。上に書いたとおり、子どもは最初から短い年数で設定されているからだと思います。
はっきり通ったのが、手術のあとでした。
整形外科で手術をしたあと、まず長下肢装具(ロング)を作りました。そしてその1か月後に、短下肢装具を作りました。
1か月です。耐用年数は関係ありませんでした。
理由ははっきりしています。手術で状態が変わったからです。これは「障害の状況が変わって、体に合わなくなった場合」そのものなので、年数の話にはなりません。
手術やリハビリで歩き方が変わったときは、年数を気にせず相談してください。むしろ、合わない装具を使い続けるほうが問題になります。
保護帽(日常生活用具)
てんかんの発作などで頻繁に転倒する場合に、頭を守るための帽子です。
こちらは市区町村の窓口だけで完結します
補装具と違って更生相談所の判定が入りません。そのぶん早く済みます。
ただし品目も金額も市区町村が決めているので、住んでいる場所で条件が変わります。参考に、東京都江東区の例を挙げます。
| 対象 | 身体障害者手帳所持者/愛の手帳1・2度。てんかんの発作などにより頻繁に転倒する方 |
| 基準額 | スポンジ・革製 15,656円 スポンジ・革・プラスチック 37,852円 (既製品は上記の80%) |
| 耐用年数 | 3年 |
| 年齢 | 制限なし |
オーダーメイドの場合は意見書が要ります。既製品なら不要なことが多いです。
既製品かオーダーメイドか
上の表のとおり、既製品だと基準額が8割になります。そのぶん手続きは早いです。
選ぶときに見るところを書きます。
- どこから倒れるか 後ろに倒れるのか、横なのか。守る範囲が変わります
- 重さ 重いと、首に負担がかかって本人が外します
- 蒸れにくさ 夏はこれで使わなくなります
- 本人が受け入れるか かぶってくれなければ意味がありません
イヤーマフと同じで、性能がいちばん高いものを選ぶと、結局使わなくなります。つけ続けられるかどうかで選んでください。
「耐用年数が来ていないからダメ」と言われたら
実際にあった話です。1年数か月しか経っていない時点で作り替えたいと言ったら、「まだ耐用年数が来ていないので出せません」と断られました。
ここであきらめないでください。耐用年数は目安であって、絶対の線ではありません。
耐用年数内でも再支給が認められるのは、おおむね次の場合です。
- 障害の状況が変わって、体に合わなくなった
- 著しく破損して、修理ができない
そして成長期の子どもは、ここに当てはまりやすいです。体が大きくなって合わなくなるのは、想定されている事態だからです。
断られたあとの、聞き直し方
年数の話に乗らないことです。「まだ2年経っていないので」と言われたら、何が変わったかの話に切り替えてください。
理由は2つに分かれます。
ケース1 体が大きくなって合わない
年数のことではなく、サイズが合わなくなっているのでご相談しています。
この1年で頭囲が◯センチ大きくなって、留め具がいちばん外側でも締まりません。
適合しなくなった場合の例外での再給付はできませんか。
数字で言えると強いです。頭囲を測って、前回の数字と比べてください。「きつそうです」より「◯センチ大きくなりました」のほうが通ります。
ケース2 守りたい場所が変わった
こちらのほうが、実は通る理由として強いです。サイズではなく、障害の状況そのものが変わった場合だからです。
たとえば、これまでは転倒時に後頭部を守れればよかったのに、自傷が出てきて前側も守る必要が出てきた、というような変化です。
いまの保護帽は後ろしか守れません。サイズは合っていても、役に立たなくなっています。これは「身体に適合しなくなった場合」そのものです。
サイズの問題ではありません。この数か月で自傷が出てきて、顔や前頭部を打ちつけるようになりました。
いま使っているものは後頭部しか守れないので、守る範囲が足りていません。
障害の状況が変わって適合しなくなったということで、再給付のご相談はできませんか。
前面や顔面を守れるタイプを検討しています。
前面や顔面まで守るタイプの保護帽は、実在します。ヘッドギア型のもの、シールドが付いたものなど、守る範囲で種類が分かれています。「そういうものは無い」と言われたら、製品名を調べて持っていってください。
この場合はオーダーメイドになることが多いので、医師の意見書が要ります。むしろ意見書があるほうが、話が早く進みます。
どちらの場合も、持っていくもの
- 主治医の意見書 「成長により」「自傷が出てきたことにより」適合しなくなった、と書いてもらう
- 写真 かぶった状態で、守れていないことが分かる1枚
- 数字 頭囲、前回作った日
- 希望する製品の情報 守る範囲が違うものがあることを示す
それでもダメなときは
- 修理や改造で対応できないか聞く 再給付が無理でも、修理費なら出ることがあります
- その自治体の耐用年数と例外規定を確認する 保護帽の耐用年数は市区町村が決めます。国で3年と決まっているわけではありません
- 相談支援専門員に入ってもらう 窓口との間に人が入ると、話が通ることがあります
断られたのが「規則だから」なのか「前例がないから」なのかは、聞いてみないと分かりません。例外の規定があるかどうかを、名指しで聞いてください。
お金のこと
どちらも原則1割負担で、世帯の所得に応じた月額の上限があります。
そして大事なことを書いておきます。
2024年4月から、障害児については保護者の所得による制限が外れました。補装具も、日常生活用具も、どちらもです。
以前に「所得が高いので対象外です」と言われた記憶のまま、あきらめている方がいます。いまは違います。くわしくは制度とお金に書きました。
窓口で、こう聞いてください
どちらの制度か分からないときは、物の名前を言うより、状態を言うほうが早いです。
足首が内側に倒れてしまって、立つのが不安定です。装具を作りたいのですが、どこで相談すればいいですか
発作で倒れることがあって、頭を打ちます。保護帽は制度で出ますか。どの課で手続きしますか
この聞き方なら、窓口の側が制度を選んでくれます。こちらが「補装具で」と言ってしまうと、保護帽のときに話がこじれます。
まとめ
- 短下肢装具は補装具、保護帽は日常生活用具。窓口も流れも違う
- 作る前に申請する。先に作ると全額自費
- 意見書を書ける医師は決まっている。最初に確認する
- 子どもの装具は4か月〜1年6か月で作り替えられる。3年待たなくていい
- 2024年4月から、障害児は所得制限なし
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