新幹線や飛行機で行って、現地はレンタカー。障害のある子との旅行では、これがいちばん現実的な形です。
先に、いちばん知られていないことを書きます。福祉車両は借りられます。しかもトヨタレンタカーでは、標準車と同じ料金です。
ただしネットでは予約できません。ここでつまずく人が多いところです。
福祉車両には2種類あります
ニッポンレンタカーは福祉車両を「ユニバーサルカー」と呼んでいて、こう分けています。
| どんな車か | 向いている人 | |
|---|---|---|
| ケアタイプ | 車椅子のまま乗れるリフト・スロープ仕様 | 車椅子から降ろすのが難しい |
| カインドタイプ | 助手席や後部座席がリフトアップして外に出てくる | 座席には座れるが、乗り移りが大変 |
ここを取り違えると、当日困ります。「車椅子のまま乗りたいのか」「座席に移れるのか」を先に決めてください。

いくらかかるか
ニッポンレンタカー(公式の料金表より)
| 24時間 | 一般料金 | 福祉優待料金 |
|---|---|---|
| ケアタイプ(N-BOXスローパー/エブリイ) | 9,700円 | 7,800円 |
| ケアタイプ(フリード) | 10,800円 | 8,800円 |
| カインドタイプ(ノア・7名乗り) | 22,550円 | 18,040円 |
ポイントが2つあります。
- ケアタイプは消費税が非課税です(貸渡基本料金について)。補償制度や乗捨て料金には税がかかります
- 福祉優待料金は通年です。ハイシーズンでも上がりません。お盆や連休に行く家庭ほど効きます
身体障害者手帳、障害者手帳アプリ、療育手帳があれば福祉優待料金になります。
トヨタレンタカー
こちらは考え方が違って、福祉車両(ウェルキャブ)はすべて「標準車と同額」です。
さらに福祉割引があります。身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳、またはミライロIDを提示すると、基本料金が10%引きになります(免責補償料や付帯料金は対象外)。
提示するのは、運転する方でも、同乗する方でも構いません。手帳を持っているのが子どもでも大丈夫です。
ネットで予約できません
ここが最大の落とし穴です。福祉車両は、通常の予約画面に出てきません。
ニッポンレンタカーの場合、利用する地域の窓口へ電話して予約します。台数がとても少ないので、決まったらすぐ電話してください。1店舗に1台あるかどうか、という世界です。
電話で伝えることはこれだけです。
- 日時と、借りる店・返す店
- ケアタイプかカインドタイプか
- 車椅子の大きさ(幅・長さ・重さ)。リフトに乗るかどうかの判断に使われます
- 乗る人数
取り扱っている車種は地域で違います。「行き先の空港・駅にあるか」から聞いてください。
ふだんは、ふつうの車です
正直に書きます。毎回は福祉車両を借りていません。盛岡へ行ったときは借りましたが、ふだんはコンパクトカーです。
そのときにどうしているか、という話をします。
バギーは、折りたためるものを選ぶ
旅行に持っていくのは、折りたためるバギーです。トランクに積みます。
ふだん使っているものが折りたためないタイプなら、旅行用に別のものを用意するかどうかが現実的な検討事項になります。制度で作るバギーの話はバギーと車椅子の違いにまとめました。
座らせ方が、いちばん難しい
ここが本当に悩ましいところです。順に書きます。
座位保持チャイルドシート(CARROT3など)は、姿勢を保てない子のために作られた製品です。ヨーロッパ(ECE R44/04)、アメリカ(FMVSS No.213)、アメリカの航空基準(FAA)に適合しているものもあります。
ただし重いです。旅行に持ち込んだことはありますが、毎回は運べません。空港でも宿でも、この重さがずっとついて回ります。
そこで市販のベビーシート(乳児用のチャイルドシート)を使うことになりますが、体が大きくなると、もう限界ぎりぎりです。ここで多くの家庭が困ります。
法律は免除してくれます。でも「安全になる」ではありません
ここは分けて考える必要があります。
免除される場合が、法律に書いてあります
6歳未満のチャイルドシート使用義務には、道路交通法施行令 第26条の3の2 第3項で8つの免除が定められています。障害のある子に関わるのは、この3つです。
- 座席の構造上、チャイルドシートを固定することができないとき(第1号)
- 幼児が負傷している等、チャイルドシートを使用することが療養上又は健康保持上適当でないとき(第3号)
- 著しい肥満や、その他幼児の身体の状態により適切にチャイルドシートを使用できないとき(第4号)
つまり「うちの子には合うものがない」という状態は、法律が想定しています。違反にはなりません。診断書の提出も要りません。
6歳以上のシートベルトについても、同じように身体の状態による免除があります。
ただし、警察ははっきり書いています
免除は「取り締まられない」という意味であって、「安全」という意味ではありません。代わりになりそうなものについて、警察の説明はこうです。
クッション・座布団等は滑りやすく、腰が安定しないので、代わりにはなりません。
神奈川県警察
時速40kmで衝突したとしたら、体重10kgの子どもも約30倍の300kgに相当します。腕力で支えられるものではありません。車外に投げ出されてしまう危険性もあります。ひざの上でのだっこは絶対にやめましょう。
神奈川県警察
市販の姿勢サポートクッションや固定ベルトで、なんとか座らせている家庭は多いと思います。うちもそうしたことがあります。それでも、これは「姿勢が保てるようになる」だけで、衝突に耐える装置ではありません。
ベルト型の製品でも、国土交通大臣の型式指定マークが本体に貼ってあるものは「幼児用補助装置」として認められています。買うときは、そのマークがあるかを見てください。
制度で作れる可能性があります
意外と知られていませんが、補装具の種目に「車載用姿勢保持装置」があります。厚生労働省が定める種目一覧に入っています。
つまり車に乗せるときの姿勢を保つ装置を、補装具費支給制度で作れる可能性があるということです。全額自費で買うものだと思っていた方は、窓口で聞いてみてください。
2024年4月から、障害児の補装具費には保護者の所得による制限がなくなりました。以前あきらめた方も、いまは違います。くわしくは障害児の福祉用具・グッズに書いています。
乗り捨てが効きます
北海道や九州のように広いところでは、借りた場所と違う場所で返す(乗り捨て)を使っています。新千歳空港で借りて釧路空港で返す、旭川空港で借りて新千歳空港で返す、熊本空港で借りて佐賀空港で返す、といった形です。
同じ場所に戻らなくていいというのは、移動が負担になる家庭ほど効きます。往復で同じ道を走る時間が、まるごと消えます。
乗り捨て料金は別にかかります。ただ、戻るための半日と比べてください。子どもの体力のほうが先に尽きます。
旅先の駐車は、東京都民が不利です
ここは調べて驚いたところです。2つの制度を分けて理解してください。
施設の駐車区画は「利用証」
商業施設や公共施設にある車椅子マークの区画を使うための制度が、パーキング・パーミット(利用証)です。
国土交通省によると、令和8年6月現在で45府県が導入しています。そして重要なのがここです。
※令和8年6月現在で、以下の45府県において導入されています。(北海道、東京都では導入されていません。)
国土交通省
45府県は相互利用しています。沖縄県の説明が分かりやすいです。
相互利用とは、沖縄県の利用証が、45府県の協力施設で利用が可能となり、また、県外の方が各自治体の利用証を使って、沖縄県内の協力施設の障害者等用駐車場が可能となることです。
沖縄県
つまりどこかの県の利用証を持っていれば、旅先でも使えます。ところが利用証は、その県に住んでいる人に交付されるものです。
東京都と北海道に住んでいると、そもそも利用証を持てません。45府県の輪に入れないのです。旅行のたびに困ることになります。
ただし、救いもあります。沖縄県は施設管理者向けにこう書いています。
この制度は、障害者等用駐車区画の適正利用を図ることを目的としたもので、利用証を掲示せずに区画を利用した方を罰することは目的としていません。利用証を持たない方の中にも、区画の利用が必要な方がいることも考えられます。
沖縄県
利用証がないから停めてはいけない、ということではありません。
路上の駐禁除外は「標章」
もうひとつが駐車禁止等除外標章です。こちらは都道府県の公安委員会が出すもので、東京都でも取れます。
他の都道府県でも使えますが、除外の対象となる基準が都道府県ごとに違います。ある県の標章を出していても、別の県では除外にならないことがあります。旅先で使う前に、その県の警察に確認してください。
2つの違いは障害者駐車許可証の申請にまとめています。
ハワイでは使えます(法律に書いてあります)
ついでに書いておきます。ハワイでは、日本の許可証が使えます。
ハワイ州改正法(§291-51〜7)で、他州および他国の当局が発行した障害者用駐車許可証は、専用の駐車スペースに停めるために使用できると定められています。
ただし駐車料金は免除されません。停められるようになるだけです。
日本国内で県境に引っかかるのに、ハワイでは通る。制度の作り方の違いが出ているところです。
まとめ
- 福祉車両は借りられる。トヨタは標準車と同額、ニッポンは福祉優待料金。ただし電話
- 手帳で割引になる。トヨタは基本料金10%引き
- 座らせ方は、法律上は免除される。でもクッションは安全装置ではない。「車載用姿勢保持装置」は補装具で作れる可能性がある
- 乗り捨てを使う。戻る時間がまるごと消える
- 駐車の利用証は、東京都と北海道の住民だけ持てない
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