原宿駅のような混む駅で、エレベーターに長い列ができていることがあります。
階段もエスカレーターも使えないから、そのエレベーターに乗るしかありません。それなのに、階段を使える人たちの後ろに並ぶことになります。
この記事は、「床に線を引いてくれるだけでも違う」という話に、実例があるのかを調べたものです。ありました。
優先レーンは、もう実在します
床にサインを引いて、エレベーターを必要とする人の並ぶ場所を分ける。これを実際にやっている鉄道会社が、すでにあります。
東京メトロ 明治神宮前〈原宿〉駅・豊洲駅
まさに原宿です。東京メトロが2025年4月14日に出したお知らせに、こう書かれています。
副都心線明治神宮前<原宿>駅及び有楽町線豊洲駅のエレベーター優先レーンにつきまして、試験設置の結果、多くのお客様に優先利用にご協力いただけたことから、2025年4月15日をもって本設置とし、継続的に啓発活動を実施してまいります。
東京地下鉄株式会社
試してみたら協力してもらえたので、正式に設置した。これが結論です。「線を引いても意味がない」という話ではなかったわけです。
床のサインは「優先レーン/Priority Lane」と書かれていて、車椅子、つえ、妊娠中の方などのピクトグラムが並んでいます。
さらに、この2駅だけの話ではありません。東京メトロは全駅(一部を除く)に、エレベーター優先利用の壁面ステッカーを掲出しています。ヘルプマークとマタニティマークも図に入っています。
つくばエクスプレス 全線で順次
こちらは規模が違います。2025年12月22日から、床面サインによるエレベーター優先レーンの設置を始めました。柏たなか駅・みらい平駅を皮切りに、北千住、つくば、守谷、南流山など、順に広げています。
案内文はこうです。
エレベーターを必要としているお客さまが、優先レーンに並ばれている場合は、お譲りいただけますよう、皆さまのご理解、ご協力をお願いいたします。
つくばエクスプレス
福岡市地下鉄 「おもいやりレーン」がある
個人的に、いちばんよくできていると思ったのがここです。2本の線を引いています。
- 優先レーン エレベーターが必要な人が並ぶ
- おもいやりレーン 一般の方が並ぶ
そして「優先レーンにお並びの方からお乗りください」「お先にどうぞ」という案内を出しています。
なぜこれがいいかというと、一般の人にも「並んでいい場所」を用意しているからです。「あなたは並ぶな」ではなく「こちらに並んでください」なら、角が立ちません。
2025年2月5日に薬院駅から始まり、赤坂・天神・中洲川端・博多・東比恵・天神南・櫛田神社前と広がっています。
国も、課題だと認めています
「わがままを言っているのでは」と感じる必要はありません。国土交通省の資料にも、混雑の問題は書かれています。
エレベーターの設置で環境は改善したものの、1台に利用者が集中すると長い待ち行列ができ、高齢者や車椅子使用者との競合が起きている、という指摘です。
バリアフリー整備ガイドラインの改訂でも、車椅子だけでなくベビーカーでの利用にも配慮したエレベーター設置が望ましいことが明確化されました。設備を増やす方向と、使い方を整える方向の両方が動いています。
要望を出すなら、こう言うと通りやすいです
駅に意見を出すとき、「エレベーターを増やしてください」は通りにくいです。お金も工事も大きいからです。
それに比べて「床に優先レーンの線を引いてください」は、はるかに現実的です。塗るか、シートを貼るかで済みます。
そして、こう言えます。
- 東京メトロが明治神宮前〈原宿〉駅と豊洲駅で本設置しています(2025年4月15日)
- つくばエクスプレスは全線で順次設置しています(2025年12月〜)
- 福岡市地下鉄は「優先レーン」と「おもいやりレーン」に分けています(2025年2月〜)
前例があると、話が早いです。「他社でやっているので検討してください」は、最初の一歩としていちばん効きます。
エレベーターが無い駅では、階段昇降機
列に並ぶ以前に、そもそもエレベーターが無い駅もあります。そのときに出てくるのが、車椅子ごと階段を上り下りする機械です。
使ったことがあります。正直に書きます。
親としては、ハードルが高いです。駅員さんを呼んで、機械を出してもらって、階段の通行を止めて、ゆっくり動きます。時間がかかりますし、人に見られます。「申し訳ない」という気持ちになります。
ところが、子どもは喜んでいました。
言われてみれば、動く機械に乗って階段を降りるのです。乗り物としてはおもしろいに決まっています。気を使っていたのは親だけでした。
使うときのことを書いておきます。
- 駅員さんに声をかけるところから始まります。自分では操作できません
- 時間がかかります。電車を1本見送るくらいの気持ちでいてください
- 機械によって、乗せられる車椅子の大きさや重さに制限があります。大きめのバギーは確認が要ります
- 先に電話で聞いておくと確実です。その駅に機械があるか、対応できる係員がいるか
気持ちの面では、こう思うことにしています。駅員さんは仕事としてやっています。申し訳なさは、こちらが勝手に足しているものです。
新幹線のほうが楽、という話
ここまで書くと分かると思いますが、遠出より近所の電車のほうが大変です。
新幹線は、乗降の介助が前提の仕組みになっています。多目的室もあります。距離が長いほうが、かえって条件がそろっています。くわしくは新幹線に車椅子・バギーで乗るに書きました。
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