インクルーシブ公園とは|できないものを探すほうが難しい

名前は聞いたことがあるけれど、普通の公園と何が違うのか分からない。そういう方が多いと思います。

行ってみて、いちばん近い言い方はこれでした。

障害のある子が、当たり前にいていいところ。「OKだよ」という許可がおりているような感覚です。

設備の話より先に、気持ちのほうが軽くなります。

この記事でわかること

普通の公園は、驚くほどサポートが要ります

比べてみると、違いがはっきりします。

普通の公園に連れて行くと、ほとんどの遊具で親が付きっきりになります。

  • 滑り台をすべるのも、親と一緒です。ひとりでは座っていられないので
  • 子ども用の滑り台は、入り口が狭くて頭をぶつけます。小さい子向けに作られているので、体の大きい子が親と入ると通りません
  • ブランコも、支えていないと乗れません
  • 砂場まで車椅子で行けません

結局、「連れて行ったけれど、ほとんど何もできなかった」で終わります。これが続くと、公園に行くこと自体をやめてしまいます。

インクルーシブ公園では、逆になりました

行ってみて驚いたのはここです。

できないものを探すほうが難しいくらいでした。重い障害のある次男でも、ほとんどの遊具に対応できました。

「障害のある子も少しは遊べる」ではありません。最初から全員が遊べるように作られているので、前提がひっくり返ります。

どんな遊具があるのか

名前が分かると、公園の案内を読んだときに「これは使えそうだ」と判断できます。種類ごとに書きます。

実物の写真は、自治体が公式に出しています。文章だけだと形が想像しにくいので、先に見ておくと分かりやすいです。

出しているところ中身
千代田区「インクルーシブ遊具の紹介と使い方」遊具ごとの写真と、使い方。いちばん分かりやすいです
松戸市「インクルーシブ遊具のご案内」種類ごとの写真
豊島区「インクルーシブ公園の紹介」区内の公園と遊具
みーんなの公園プロジェクト「国内事例」実際に訪れた現地リポート。寸法や工夫まで書かれています

ブランコ

いちばん種類が多いところです。「ブランコがある」だけでは判断できません。

名前どんなものか向いている子
サポートシート体をベルトで固定するタイプ座位が保てない
キャスパーシート固定具が要らない。体をゆだねるだけで安定する形ベルトを嫌がる
皿型(円盤型)ブランコ面が広く、寝転んだまま乗れる。複数人でも乗れる座れない/きょうだいと一緒に
ファミリーシート保護者と向かい合って座れるひとりでは不安
グループスイング同時に複数人が乗れる友達・きょうだいと

皿型ブランコは、効く範囲がいちばん広いと思います。寝たまま乗れるので姿勢を保てない子でも使えますし、広いのできょうだいが一緒に乗れます。

皿型ブランコ。寝たままの姿勢で乗れる(新宿中央公園)
体を支えるサポートシート型のブランコ(新宿中央公園)

回転遊具

車椅子に乗ったまま、一緒に回れるものがあります。降りなくていいというのが大きいところです。

速く回る・ゆっくり回るを自分で選べる作りのものが多いです。刺激が強すぎる子でも、弱い動きで使えます。

滑り台・複合遊具

見るのは2つです。

  • 幅が広いか 親と並んですべれます。ふつうの子ども用は入り口が狭く、大きい子だと頭をぶつけます
  • スロープで上まで行けるか 車椅子のまま登れる複合遊具があります。階段しかないとそこで終わります

砂場

テーブル型の砂場があります。地面に下りなくても、座ったまま手が届く高さです。

これは車椅子の子だけでなく、感覚が過敏で砂に入れない子にも効きます。手で直接触らなくても、道具を使って遊べます。

感覚で遊ぶ遊具(パネル遊具)

音が出るもの、手ざわりの違う素材を並べたものです。壁や柱に取り付けてあります。

体を大きく動かせない子にとっては、これが主役になります。見る・聴く・触るだけで成立する遊びがあるかは、公園を選ぶときに見てください。

車椅子に座ったまま手が届く位置にあるパネル遊具(新宿中央公園)

地面

遊具ではありませんが、ここがいちばん効きます。

ゴムチップなどのクッション性のある舗装だと、車椅子やバギーで遊具のすぐそばまで行けます。砂や砂利だと、そもそも近づけません。

都立明治公園のインクルーシブ広場は人工芝です。天然芝と違って、季節や天気に左右されにくいところです。

幅の広い滑り台と、クッション性のある舗装。奥に車椅子の方が通れている(新宿中央公園)

国が示している考え方

思いつきで作られているわけではありません。国土交通省が「みんなが遊べる、みんなで育てる 都市公園の遊び場づくり参考事例集」(令和6年4月・PDF)を出しています。

そこで、配慮すべきこととして挙げられているのが次の点です。

  • 遊びの要素が豊富であること 身体を使った遊び、感覚を使った遊び、自然遊び、創造的な遊び
  • 冒険や挑戦を促し、子どもにとって魅力的であること
  • 障害の有無などにかかわらず、子どもが自分にあった遊びを楽しめること

注目したいのは「冒険や挑戦を促し」というところです。安全なだけの場所をつくる、という話ではありません。障害のある子にも、挑戦させる前提になっています。

親としては、つい安全なほうに寄せてしまいます。国の資料にこう書かれていると知っているだけで、やらせてみようと思えます。

始まりは2020年の砧公園です

意外と最近の話です。

2020年3月、東京都が世田谷区の砧公園に「みんなのひろば」をつくりました。これが全国で最初の、だれもが利用できる遊び場です。

砧公園「みんなのひろば」の入り口

そこから全国に広がっています。つまり、まだ数が少ないのは当たり前で、これから増えるところです。

近所に無くても、そのうちできる可能性があります。自治体に「つくってほしい」と言う価値もあります。

地域ごとの公園(2026年10月1日に調べたもの)

先にお断りします。インクルーシブ公園はいま増えている最中です。この一覧は2026年10月1日時点のもので、ここに無い公園もありますし、改修で中身が変わることもあります。行く前に必ず公式サイトで確認してください。

それでも載せるのは、「自分の地域にもあるかもしれない」と気づくためです。無いと思い込んでいる方が多いからです。

北海道・東北

県公園
北海道農試公園(札幌市)
青森八戸公園(八戸市)
岩手うみどり公園(宮古市) 東北で最初・2021年7月31日
宮城宮城県総合運動公園(利府町)/矢本海浜緑地(東松島市)
山形シェルターインクルーシブプレイス コパル(山形市)

山形のコパルは、公園というより屋内も含めた施設です。天候に左右されないので、体温調節が難しい子には向いています。

東京

公園ひとこと
砧公園「みんなのひろば」(世田谷区)全国で最初。2020年3月
都立明治公園「インクルーシブ広場」(新宿区)人工芝。ユニバーサルシートとオールジェンダートイレもある
新宿中央公園「ちびっ子広場」(新宿区)—
大井坂下公園(品川区)—
一本杉公園(多摩市)—

豊島区や千代田区のように、区が公式サイトでインクルーシブ遊具の紹介と使い方を出しているところもあります。お住まいの区の名前で調べてみてください。

関東(東京以外)

県公園
神奈川小柴自然公園「みんなのあそびば」(横浜市)/平塚市総合公園「みんなの広場」(平塚市・市制90周年記念事業)/由比ガ浜のインクルーシブ広場(鎌倉市)
埼玉なかよしひろば(三郷市)
千葉青葉の森公園(千葉市)/松戸市(市が遊具の案内を出しています)

中部・北陸

県公園
石川玉川公園(金沢市)
愛知油ヶ淵水辺公園「自然ふれあい生態園」/豊川公園
三重県が「インクルーシブ遊具のある公園」の一覧を出しています

三重県は、県として一覧を公開しています。こういう形で出している自治体は、探すのが楽です。

関西

県公園
大阪副池オアシス公園/江坂公園/末広公園
兵庫稲美中央公園こどもの国(稲美町)

中国・九州

県公園
山口防府市内17か所の広場にインクルーシブ遊具(2024年3月)
福岡百道中央公園(福岡市)ほか。福岡市は「インクルーシブな子ども広場」を複数の区に整備しています
佐賀日の隈公園キッズパーク(神埼市) 日よけの工夫があり、太陽アレルギーの子でも遊べます

山口県防府市の「17か所」は、考え方が違います。大きな公園を1つ作るのではなく、市内の広場に少しずつ入れるやり方です。近所で遊べるという点では、こちらのほうが効きます。

佐賀の日の隈公園は、太陽アレルギーの子を想定して日よけがあるのが特徴です。「インクルーシブ」が車椅子の話だけではない、という例です。

四国は、まだ見つかりませんでした

正直に書きます。四国については、はっきりした事例を確認できませんでした。「無い」という意味ではなく、こちらで見つけられなかったということです。

ご存じの方がいたら教えてください。追記します。

全国の最新は、ここで追えます

みーんなの公園プロジェクトが、各地の公園を実際に訪れて現地リポートを出しています。遊具の寸法や工夫まで書かれているので、行く前に読む価値があります。

自治体の側では、こういうページがあります。

自治体ページ
三重県インクルーシブ遊具のある公園
福岡市インクルーシブな子ども広場
鎌倉市インクルーシブ広場(由比ガ浜)
豊島区インクルーシブ公園の紹介

お住まいの自治体名+「インクルーシブ」で探すのがいちばん確実です。

探し方

全国の一覧は、ここには載せません。増えたり改修されたりするので、古くなった一覧はかえって迷惑になるからです。

代わりに、確実な探し方を書きます。

  1. 「(都道府県名)インクルーシブ公園」で検索する 自治体が公式に出しています
  2. 「だれもが遊べる広場」「みんなの広場」でも探す 公園の名前として、この言い方のほうが多いです
  3. 都道府県の公園緑地の担当課に聞く 整備の予定まで教えてもらえることがあります

「インクルーシブ公園」という名前で呼ばれていないことが多いのが、見つけにくい理由です。砧公園も「みんなのひろば」です。

行く前に見ておくこと

遊具がそろっていても、ここが抜けていると1日いられません。

  • ユニバーサルシート(大人用の介助ベッド)があるか これが無いと、おむつ替えのために帰ることになります
  • 障害者用の駐車区画があるか 都立公園でも、駐車場が無いところがあります
  • 日陰があるか 体温調節が難しい子には決定的です
  • 横になれる場所があるか 芝生で十分です。座り続けるのがつらい子には要ります

トイレのことはバリアフリートイレとはに、横になれる場所のことはおでかけ先の選び方に書きました。

実際に行ったところ

都立明治公園(新宿区霞ヶ丘町)には「インクルーシブ広場」があります。多様性をテーマにした遊具があり、クッション性のある人工芝が敷かれています。天然芝と違って、季節や天気に左右されにくいところです。

同じ公園にユニバーサルシートとオールジェンダートイレがあり、天然芝の広場もあります。遊具・トイレ・横になれる場所がそろっているので、1日いられます。

ただし園内に駐車場がありません。くわしくは都立明治公園に書きました。

最後に

インクルーシブ公園のいちばんの価値は、遊具ではないと思っています。

「ここにいていい」と、場所のほうが言ってくれることです。

きょうだいが車椅子を押して遊具へ向かう(砧公園)

普通の公園では、どうしても気を使います。順番、声、場所の取り方。気を使わなくていい場所が1つあると、外に出る回数が増えます。

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この記事でわかること