副籍制度とは|自治体で名前が違うので見つけにくい

特別支援学校に通っていても、家の近くの小中学校にもう一つ籍を置ける制度があります。

東京都では副籍と呼びます。ただし自治体によって名前が違うので、そこで見つけられない方が多いです。

この記事でわかること

名前が自治体でばらばらです

同じような仕組みなのに、呼び方が違います。「副籍」で検索して出てこなくても、無いとは限りません。

自治体名前始まった年
東京都副籍2007年
長野県副学籍2005年
横浜市副学籍—
岐阜県交流籍2013年
長崎県支援籍2016年

お住まいの地域で探すときは、「(都道府県名)副籍」「(都道府県名)副学籍」「(都道府県名)支援籍」をそれぞれ試してみてください。

いちばん確実なのは在籍している特別支援学校に聞くことです。制度があれば、学校が窓口になります。

何をする制度なのか

東京都教育委員会の説明です。

都立特別支援学校の小・中学部に在籍する児童・生徒が、居住する地域の区市町村立小・中学校(地域指定校)に副次的な籍(副籍)をもち、直接的な交流や間接的な交流を通じて、居住する地域とのつながりの維持・継続を図る制度

東京都教育委員会

読み落としやすいのが、「居住する地域とのつながりの維持・継続」というところです。

これは勉強のための制度ではありません。地域に知っている子をつくる、顔を覚えてもらう、そのための仕組みです。

交流には2つのやり方があります

ここを知らないと、「うちの子には無理」と最初にあきらめてしまいます。

やること
直接交流小・中学校の学校行事や地域行事への参加、学習活動への参加
間接交流学校だよりや学級だよりの交換、作品や手紙の交換、地域の情報の提供

間接交流があるのが大事なところです。体調が安定しない子、人の多い場所がつらい子、医療的ケアが必要な子でも、行かずに参加できます。

「学校に行くのが無理だから使えない」ではありません。手紙と作品のやりとりだけでも、制度としては成立します。

ただし、正直に書いておきます。うちはコロナ禍のあいだ、間接交流しかできませんでした。

制度としては成立していましたが、私は直接交流がしたかったです。手紙と作品だけだと、相手の子にとって「紙の上の存在」のままになります。

間接交流は、入り口としては十分です。でも、そこで止めるつもりがないなら、次の節を読んでください。

なぜ使う価値があるのか

地域に知っている人ができます

特別支援学校はスクールバスで通います。近所に同級生がいません。

家の前を歩いているのは、顔も名前も知らない子たちです。親も、近所に同じ学校の保護者がいません。住んでいる場所と、通っている場所が切れている状態です。

副籍は、ここをつなぐためのものです。「あの子は◯◯ちゃん」と知られていることが、そのまま安全につながります。

卒業したあとに効いてきます

学校を出たあと、生活するのは地域です。

そのときに、小中学校で同じ時間を過ごした人が地域にいるかどうかは、かなり違います。見かけたことがある、名前を知っている、というだけで、まわりの反応が変わります。

これはいますぐ成果が出る制度ではありません。10年後、20年後に効くものだと思っています。

相手の子どもたちにとっても意味があります

交流は、こちらが「してもらう」ものではありません。

障害のある子がクラスにいるのが当たり前だった、という経験をした子は、大人になってからの振る舞いが変わります。うちの子を受け入れてくれる社会は、こうやってしか作れません。

始め方

  1. 在籍している特別支援学校に聞く 「副籍(または支援籍・副学籍)を使いたい」と伝えます
  2. 地域指定校が決まる ふつうは、障害がなければ通っていたはずの学区の学校です
  3. 相手の学校と顔合わせをする 何ができるか、何が難しいかを伝えます
  4. 年間の計画を決める 何回、どんな形でやるかを決めます
  5. やってみて、見直す 合わなければ形を変えられます

最初から直接交流にしなくて大丈夫です。間接交流から始めて、様子を見て増やす形がよくあります。

うまく始まった決め手は、出前授業でした

うちは1年生の秋から直接交流ができるようになりました。コロナ禍で間接交流しかできなかったあとのことです。

何が効いたかというと、特別支援学校の先生が、相手の学校へ行って出前授業をしてくれたことでした。

これがいちばん良かったです。この授業のおかげで、交流がうまく始まりました。

なぜ効くのか

いきなり子ども同士を会わせると、受け入れる側の子たちはどう接していいか分からないまま当日を迎えます。

戸惑いが出ます。遠巻きに見る、固まる、逆に過剰に世話をしようとする。どれも悪気はありませんが、本人にとっては居心地が悪いです。

先に先生が行って説明しておくと、ここが変わります。

  • どんな子が来るのかが分かっている
  • 何ができて、何が難しいかを知っている
  • どう話しかければいいかを教わっている
  • 「特別なこと」ではなく、授業で習ったこととして受け止めている

当日の空気がまったく違います。準備された教室に入るのと、何も知らない教室に入るのとでは、同じ行事でも別物になります。

頼み方

これはこちらから言わないと始まりません。向こうから提案してくれるとは限らないので、学校との打ち合わせで聞いてみてください。

交流を始める前に、先生から相手のクラスへ説明していただくことはできますか。
出前授業のような形で、障害のことや、うちの子との接し方を伝えてもらえると、お互いにやりやすいと思います。

「お互いに」と言うのがこつです。受け入れる側の先生も、どう準備すればいいか分からずに困っていることが多いからです。

特別支援学校の先生は、こういう授業に慣れています。頼めば、たいてい応じてくれます。

聞いておきたいこと

学校との顔合わせのときに、はっきりさせておくと後が楽です。

  • 親の付き添いは必要か ここがいちばん現実的な問題です。仕事との兼ね合いが出ます
  • 行き帰りはどうするのか 送迎は基本的に家庭の負担になります
  • 医療的ケアが必要な場合、どう対応するのか 看護師の配置があるか
  • 何回やるのか 年に1〜2回のところもあれば、月1回のところもあります
  • どのクラスと交流するのか 同学年のどこか1クラスのことが多いです
  • 体調が悪いときに休めるか 当日キャンセルの連絡先を聞いておく

付き添いと送迎が、続けられるかどうかを決めます。ここを曖昧にしたまま始めると、親のほうが先に続かなくなります。

正直に書いておきたいこと

この制度には、うまくいっている例とそうでない例の両方があります。

相手の学校の受け止め方で、中身がかなり変わります。熱心に考えてくれる学校もあれば、形式的に年1回の手紙交換で終わるところもあります。

それでも、籍があるかないかは違います。籍があると、学校だよりが届きます。名簿に名前が載ります。そこから始まることがあります。

期待しすぎず、やめることもできると思って始めるくらいでちょうどいいと思います。

よくある質問

高校生でも使えますか

東京都の副籍は小学部・中学部が対象です。高等部は入っていません。自治体によって範囲が違うので、確認してください。

転校になるのですか

なりません。籍は特別支援学校のままで、地域の学校に「副次的な籍」を置く形です。二重に在籍するわけでもありません。

途中からでも始められますか

年度の途中からの相談も受け付けているところが多いです。まず学校に聞いてください。

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