多目的トイレとバリアフリートイレ|介助ベッドは義務ではない

「バリアフリートイレって、結局なんなんだろう」とずっと思っていました。そう書いてあるから行ってみたら、車椅子で入れるだけだった、ということが何度もあったからです。

同じ疑問を持っている方は多いと思います。名前でそろっているのは看板だけで、中身はそろっていません。

「多目的トイレ」「多機能トイレ」「だれでもトイレ」「バリアフリートイレ」。同じものを指しているように見えて、国はいま、この呼び方を変えようとしています。

先に用語をひとつ。大人が横になれる折りたたみ式のベッドを、国のガイドラインでは「大型ベッド」、現場では「ユニバーサルシート」と呼びます。同じものです。この記事では、探すときに使う言葉として両方を出します。

理由を知ると、探し方が変わります。そして大人用の介助ベッドがある場所は、思っているよりずっと少ないことも分かります。

この記事でわかること

国は「多目的トイレ」という名前をやめようとしています

国土交通省のガイドラインに、こう書かれています。

「多機能トイレ」「多目的トイレ」等の名称が表記されていたが、ここしか使えない人に必要な設備や機能が集中した結果、利用する対象者も拡大し、利用自体が集中しているだけでなく、一般トイレの利用で支障のない人が利用している実態もあるのではないかとの指摘がなされている

国土交通省「施設・設備に関するガイドライン」

つまりこういうことです。

「多目的」と書いてあるから、誰でも使っていいと思われる。だから混む。結果、そこしか使えない人が使えなくなる。

だから国は、名称を「設置された設備や機能、一定の広さの確保が必要な人が対象であることが伝わるもの」にするよう求めています。「バリアフリートイレ」という呼び方が増えているのは、このためです。

4つに分かれています

国のガイドラインでは、いまこう整理されています。1か所に全部入っているとは限りません。

種類中身
車椅子使用者用便房車椅子で使える広さ(内法で200cm×200cm程度)。大型ベッドを備えたものも含まれる
車椅子使用者用簡易型便房車椅子で入れる出入口の幅と最小限の広さ。以前「簡易型多機能便房」と呼ばれていたもの
オストメイト用設備を有する便房汚物流しなどのオストメイト用の水洗器具がある
乳幼児連れ用設備を有する便房ベビーチェア、乳幼児用おむつ交換台、着替え台など

ここが分かると、施設に電話したときの答えの意味が変わります。

「おむつ交換台があります」は、赤ちゃん用かもしれません

実際にあったことです。

「障害児用のおむつ替えシートがありますよ」と言われて行ったのに、実物は赤ちゃん用のおむつ替え台でした。体の大きさがまったく足りません。

これは施設の方が嘘をついたわけではなく、言葉が同じだから起きます。上の表のとおり、「乳幼児用おむつ交換台」と「大型ベッド」は別の設備です。

しかも国は、機能分散のために乳幼児連れ用設備を車椅子使用者用便房とは別にすることを求めています。混雑を減らすための正しい方向ですが、結果として「赤ちゃん用はあるが、大人用はない」という施設が増えます。

だから電話で聞くときは、こう言ってください。

「赤ちゃん用のおむつ交換台ではなく、大人が横になれる大型ベッドはありますか」

大人用の介助ベッドは、義務ではありません

ここが、いちばん知っておいてほしいところです。国のガイドラインの表現はこうです。

車椅子使用者用便房には障害者等の介助のために大型ベッド等を設けることが望ましい

国土交通省

「望ましい」です。「設けなければならない」ではありません。

だから、新しくてきれいな施設でも大型ベッドがないことがあります。建物の新しさと、大型ベッドの有無は関係ありません。期待して行くと、その場で困ります。

ガイドラインには、置く場合の条件も書かれています。車椅子を大型ベッドの横に置いた状態で、介助者が動け、着脱した衣類や荷物を置ける広さが必要だとされています。つまり、ベッドがあっても狭ければ実際には使いにくい、ということです。

「バリアフリートイレ」と書いてあっても

正直に書きます。「バリアフリートイレ」と表示されていても、全然バリアフリーじゃない、と思うことがよくあります。

入ってみてユニバーサルシートがないと、その時点でがっかりします。そこで何ができるかが決まってしまうからです。手すりがあってもオストメイト設備があっても、横になれなければ、うちの場合はどうにもなりません。

看板の名前は、中に何があるかを教えてくれません。だから毎回、行く前に電話で聞くことになります。

でも、あとから付くことがあります

がっかりする話ばかりではありません。無かったところに、あとから設置された例があります。

都立明治公園(新宿区霞ヶ丘町・国立競技場のすぐ近く)では、2025年5月15日に、トイレ棟の車いす使用者対応トイレへユニバーサルシートが設置されました。公園の公式サイトに「都立公園のバリアフリーの取組として」と書かれています。

公式の説明では、ユニバーサルシートは「障害児やお年寄りにも利用いただける介助用ベッド」とされ、通常のトイレ利用が難しい方の利用を優先するよう案内されています。使ったあとは折りたたんで、通行の妨げにならないようにします。

同じ公園にはオールジェンダートイレもあります。異性介助が必要な家庭にとって、これも大きいです。

設備は「最初から有るか無いか」で固定されているわけではありません。声が届いて足されることがあります。無かった場所で、管理者に伝えておく意味はあります。

この公園については、実際に行って確かめたことを都立明治公園にまとめました。芝生やカフェのことも書いています。

男女共用が「標準」とされている理由

意外に知られていませんが、ガイドラインにこう書かれています。

1以上の車椅子使用者用便房は異性介助に配慮し男女共用とすることを標準とする

国土交通省

子どもが成長すると、必ずこの問題が来ます。母親が男の子を、父親が女の子を介助する場面です。

男女共用のバリアフリートイレは、そのためにあります。使っていいのかと迷う必要はありません。国が、そのために男女共用を標準としています。

ガイドラインには、知的障害・発達障害のある人の同伴介助についても配慮が求められていて、広めの男女共用便房の設置や、同伴者の排泄時に本人が待てるスペースを設けることも挙げられています。

行く前に確認すること

  • 大人が横になれる大型ベッドがあるか(赤ちゃん用のおむつ交換台と区別して聞く)
  • それが館内のどこにあるか。1か所しかないことが普通です。しかも別の階のことがあります
  • 男女共用か(異性介助が必要な場合)
  • オストメイト用の設備が要る場合は、別の便房にあるかもしれないので場所を聞く

この4つを含めた確認項目は、おでかけ先の選び方に9つにまとめてあります。そのまま読み上げて電話で聞ける形にしてあります。

よくある質問

「多目的トイレ」と「バリアフリートイレ」は違うものですか

指しているものは同じですが、国は「多目的」「多機能」という呼び方を見直すよう求めています。誰でも使えると誤解され、本当に必要な人が使えなくなるためです。

車椅子ではありませんが、使ってもいいですか

広さや設備が必要な人が対象です。オストメイトの方、介助が必要な方、異性の介助者と入る必要がある方も含まれます。「車椅子だけのもの」ではありません。

広さの目安はどのくらいですか

車椅子使用者用便房は内法で200cm×200cm程度が標準とされています。これより狭いと、車椅子で入っても向きを変えられないことがあります。

※内容は国土交通省「施設・設備に関するガイドライン」によります(2026年9月時点)。

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この記事でわかること