障害のある子と泊まった13か所|温泉旅館にも泊まれています

障害のある子がいると、旅行はあきらめるものだと思われがちです。

重い障害のある次男と、13か所に泊まりました。何度も行っている宿もあります。温泉旅館にも、一棟貸しにも、沖縄のコンドミニアムにも行っています。

バリアフリーをうたっている宿は、この中に1軒もありません。それでも泊まれています。何が効いたのかを書きます。

この記事でわかること

先に、旅先では制度が使えません

いちばん大きな前提です。ヘルパーも訪問看護も住んでいる市区町村の支給決定にもとづいて使うものなので、旅行先では使えません。

沖縄で旅行支援をしている一般社団法人Kukuruが、こう書いています。

旅先では、介護保険や障害福祉サービスによる社会資源サービスが利用出来ず、せっかくの楽しい旅も介護に追われて終わってしまう・・そんな経験はありませんか?

一般社団法人Kukuru

旅行中はふだんより手が足りません。そこに「慣れない場所」が加わります。宿選びは、この2つをどう減らすかの話です。

泊まった13か所

お断りしておきます。ここに挙げるのは「バリアフリーの宿」ではありません。うちの子と泊まれた宿です。設備は必ずご自身で確認してください。障害の内容が違えば、必要なものも変わります。

時期宿場所
2023年1月白馬姫川温泉 ホテル白馬長野・2泊
2023年6月オリエンタルホテル 沖縄リゾート&スパ恩納村・6泊
2023年7月ゆとりろ磐梯熱海福島
2023年11月氷見温泉郷 くつろぎの宿 うみあかり富山
2024年8月鼓 tsuzumi-suite金沢・1日1組限定
2025年7月ラビスタ横須賀観音崎テラス神奈川
2025年8月鼓 tsuzumi-suite金沢・2年続けて
—HOTEL MAZARIUM岩手・盛岡
2026年8月プライベートコンド古宇利島 by コルディオプレミアム沖縄・6泊
何度もリバーリトリート雅樂倶富山・いちばん好き
何度も月と太陽熱海・一棟貸し
—フェリスヴィラスイート古宇利島ビュー沖縄・本部町
—カフーリゾート フチャク コンド・ホテル恩納村・コンド棟

並べてみて、自分でも意外でした。温泉旅館が3軒あります。「大浴場があるから無理」とあきらめなくてよかった、ということです。

やってみて、効いたのはこの5つ

1. 設備より、人だったこと

条件の話を書く前に、いちばん覚えている出来事を書かせてください。

リバーリトリート雅樂倶(富山)は、我が家がいちばん好きな宿です。何度も行っています。理由は設備ではありません。

食事のときに、空を見て、頼んでもいないのに刻んだものを持ってきてくれました。

こちらから説明したわけではありません。見て、判断して、出してくれた。それまで、そういう経験が一度もありませんでした。

設備は事前に調べられます。でも、これは調べられません。だから合う宿に出会えたら、そこへ何度も行くのがいちばん確実です。

逆に言えば、予約のときに「うちの子はこうです」と伝えておく価値があるということでもあります。伝わっていれば、してもらえることがあります。

2. 部屋にお風呂があるか

これがいちばん効きます。大浴場に入れるかで悩まなくて済むからです。人の目も、時間も気にしなくていい。

だから探すときの言葉は「バリアフリー」ではありません。「客室露天風呂」「離れ」「内風呂付き」で絞ります。温泉旅館でも、この条件なら選択肢がかなりあります。

設備の有無ではなく、家でやっていることがそこでできるか。これが基準になりました。

3. 短く区切らず、長く泊まる

沖縄は2回とも6泊しました。贅沢をしたいからではなく、そのほうが楽だからです。

障害のある子との旅行で体力を使うのは、移動と、荷ほどきと、慣れることです。宿を変えるたびに全部やり直しになります。

1泊ずつ3か所より、3泊を1か所。キッチンと洗濯機のある部屋なら、長く泊まるほど持ち物も減ります。「あちこち回る旅行」をあきらめたら、かえって行ける場所が増えました。

4. 合った宿には、また行く

金沢の宿には2年続けて同じ時期に、富山の雅樂倶と熱海の月と太陽には何度も泊まっています。沖縄にも何度も行っています。

2回目からは、聞くことも荷物も減ります。段差の位置も、風呂の広さも、分かっているからです。新しい場所を毎回開拓するより、こちらのほうが回数を重ねられます。

「毎回ちがう場所に行かないともったいない」と思わなくていいです。行ける場所が1つ増えるほうが、ずっと価値があります。

5. 現地はレンタカー

新幹線や飛行機で行って、現地は必ずレンタカーを借りています。空港や駅前で借りるので、バギーごと移動できます。

盛岡のときは福祉車両を借りました。大手のレンタカー会社なら借りられます。トヨタレンタカーは福祉車両(ウェルキャブ)を標準車と同額で貸しています。

ただしネットでは予約できません。電話が要ります。くわしくは障害のある子とレンタカーに書きました。

泊まった宿のこと

温泉旅館にも泊まれています

白馬姫川温泉 ホテル白馬(長野)、ゆとりろ磐梯熱海(福島)、氷見温泉郷 くつろぎの宿 うみあかり(富山)。

温泉旅館は、車椅子の子とは無理だと思われがちです。でも「部屋にお風呂がある」で絞れば、行けます。食事を部屋で出してもらえるかも、あわせて聞いてください。

リバーリトリート雅樂倶(富山)

神通川沿いの宿で、客室に温泉が付いているタイプがあります。何度も行っている、我が家の定宿です。

刻んだ食事の話は上に書いたとおりです。「いちばん好きな宿」と即答できる場所が1軒あると、旅のハードルが大きく下がります。行き先を毎回ゼロから探さなくてよくなるからです。

一棟貸し・1日1組(金沢・熱海)

鼓 tsuzumi-suiteは1日1組限定の宿で、2年続けて泊まりました。

熱海の月と太陽にも何度も行っています。こちらは一棟貸しの貸別荘で、温泉とサウナ付き。棟によっては10名まで泊まれるので、祖父母やきょうだいと一緒のときに使っています。

一棟まるごと借りてしまうと、声が出ても、夜中に起きても、誰にも気を使わなくて済みます。これは設備では代えられない部分です。

人数が多いほうが楽というのも、あまり書かれていないと思います。手が増えるからです。交代で見られるだけで、親が休めます。

沖縄は6泊(2回とも)

オリエンタルホテル 沖縄リゾート&スパ(恩納村)とプライベートコンド古宇利島 by コルディオプレミアムは、どちらも6泊しました。

ほかにフェリスヴィラスイート古宇利島ビュー(本部町)とカフーリゾート フチャク コンド・ホテル(恩納村)にも泊まっています。フェリスヴィラスイートは全棟オーシャンビューのヴィラで、調理器具のそろったキッチンが付いています。

カフーリゾートのように、同じ宿にホテル棟とコンドミニアム棟があるところがあります。泊まったのはコンド棟のほうです。予約サイトでは同じ名前で出てくるので、どちらの棟かを必ず確かめてください。間違えるとキッチンのない部屋になります。

HOTEL MAZARIUM(岩手・盛岡)

ここは少し特別です。障害のある作家のアートを扱うヘラルボニーが、アートプロデュースをしているホテルです。盛岡バスセンターの3階にあります。

34室のうち8室を、岩手県在住の8人の作家が手がけています。そして宿泊料の一部(1室1泊あたり500円)が、アート料として作家に支払われる仕組みです。

泊まるだけで、そこにつながる。障害のある子と旅行をする側として、この形はうれしかったです。

沖縄には、預けられるところがあります

これを知らずに沖縄へ行くのはもったいないです。

一般社団法人Kukuru(那覇市)は2010年に看護師が立ち上げた団体で、旅行中のお子さんを見てもらえます。うちも空を預けています。

ハンディキャップのある児(者)を、宿泊地・観光地・ご自宅で、マンツーマンで見守りするサービスです。障がいの程度に応じて、最適な人材(看護師やヘルパー)を配置し、地域の訪問看護ステーションや医療機関との連携も行っています。

一般社団法人Kukuru

プールにも入ってくれます。親が入れない日でも、子どもは遊べます。

ヘルパー(1時間あたり)4,000円/税別 ※3時間以上の利用の場合
看護師(1時間あたり)6,000円/税別
入浴介助(単発・1回)6,000円 ※1時間30分まで

別途、交通費がかかります。3時間未満だと料金が変わるので、まとまった時間で頼むほうが結果的に安くなります。

「高い」と感じるかもしれません。でも数時間、親が完全に手を離せるということの意味を考えてみてください。旅行中にそれができる場所は、ほとんどありません。

おむつを宅配してくれます

個人的に、いちばん驚いたのがこれです。

意外とかさばる紙おむつ。持ってくるには荷物が多くなるし、送ると高いし・・お任せください!ご希望の場所(宿泊地・空港など)へ、宅配いたします。おむつ以外の衛生用品もご相談に応じます。

一般社団法人Kukuru

サイズの大きいおむつは、旅先で買えません。そこを分かっている人がやっているサービスです。荷物の話はおでかけの持ち物にも書きました。

ほかに吸引器やパルスオキシメーターの貸し出し、入浴介助、旅程のコーディネートもしています。宿のお風呂に入れないときは、地域の施設を使った入浴サービスもあります。

「重症心身障害児(者)とご家族の旅行をお手伝いするための手引き」というPDFも無料で配っています。旅行前に読む価値があります。

予約する前に聞くこと

公式サイトに書いていないことばかりです。電話で聞いてしまうのが早いです。

  • 部屋まで段差なしで行けるか 旅館や離れは敷地が広く、玄関から部屋まで階段や渡り廊下があることがあります
  • お風呂の入口の段差と、浴槽の高さ 部屋風呂でも、またげなければ入れません
  • ベッドか、布団か 落ちる心配がある子は床に布団を敷けるかを聞いてください。和室が有利なことがあります
  • 車椅子・バギーを部屋に入れていいか 畳の宿で問題になります。タイヤを拭く布を持っていくと話が早いです
  • 食事を部屋で食べられるか 大広間がつらい子には決定的です
  • 駐車場から玄関までの距離 荷物が多いので効きます
  • 近くの医療機関 念のため。行かずに済めばそれでいいです

まとめ

「バリアフリーの宿」で検索すると、選択肢がとても狭くなります。そして出てきた宿が、うちの子に合うとも限りません。

部屋にお風呂があるか。長く泊まれるか。この2つで探すほうが、現実には広がりました。13か所のうち、バリアフリーをうたっている宿は1軒もありません。

そして、合った宿にはまた行ってください。2回目からがずっと楽になります。

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