医療的ケア用品の持ち運び|飛行機は電源が使えません

吸引器、注入ポンプ、酸素、薬、予備のカニューレ。持って行くものが多すぎて、旅行そのものをあきらめてしまうことがあります。

先に結論を書きます。荷物の量は、思っているほど問題になりません。心配すべきは電源と座席です。

この記事は、JALとANAの公式ページの文言をそのまま引きながら書いています。まとめサイトを見て書いてはいません。

この記事でわかること

医療機器と薬は、荷物の枠に入りません

いちばん知られていないところだと思います。ANAのページにこう書かれています。

医療機器、医薬品類はお預かり手荷物とは別に、無料でお預けいただけます。なお医療機器については当日、係員が目視確認をさせていただく場合がございます。

ANA

「別に」です。無料で預けられる2個の枠とは別勘定になります。

だから、荷物を減らすために医療のものを削る必要はありません。減らすなら、服やおもちゃのほうです。(おむつは減らさないでください。理由はおでかけの持ち物に書きました)

機内の電源は、使えません

ここがいちばんの落とし穴です。座席にコンセントがあっても、医療機器には使えません。

機内のシート電源は、安定的な電源供給をお約束できるものでないことからご利用いただけません。予備バッテリーの充電においても同様です。

ANA

機内ではパソコン電源を含む電源の提供は行っておりません。ご自身で十分な量のバッテリーをご用意ください。

JAL

予備バッテリーの充電もできません。機内で充電する前提の計画は立てられないということです。

バッテリーは、飛行時間の1.5倍

両社とも同じ目安を出しています。

  • ANA 「酸素濃縮器(POC)用バッテリーは、飛行時間の150%を目安にお持ちいただくようお願いいたします」
  • JAL 「ご搭乗時間の1.5倍のバッテリーをお持ちいただくことをお勧めしております」

ここで注意したいのは、「飛行時間」は離陸から着陸までではないということです。搭乗してから降りるまで、遅延も含めて考えてください。1.5倍という数字は、その余裕ぶんです。

外付けバッテリーは、それ自体が航空輸送の制限品です。純正でないものを使っている場合は、製品安全データシート(SDS)を用意するか、メーカー名と型番を先に伝えて確認してもらってください。

前の座席の下に入らないと、席を買うことになります

これも先に知っておきたいところです。機器は原則、前の座席の足元に置いて使います。

原則は、前の座席下に収納していただきます。前の座席下に収納できない場合は、別途追加で座席を購入いただく必要がございます。

JAL

ANAも同じで、「前席足元下に収納できない機器を持ち込まれる場合には、別途隣接座席を購入していただく必要があります」と書かれています。

お金の話として、旅行の計画に入れておいてください。あとから言われると、その場ではどうにもなりません。

ほかに、座席まわりで決まっていることがあります。

  • 非常口座席は使えません 緊急脱出時の援助が理由です
  • 案内されるのは、窓側または中央ユニットの通路側でない席(JAL)
  • キャリーは外すことがあります 機器にキャスターが付いている場合です
  • チューブは長めのものを 足元に置いて使うので、届かないと困ります

診断書が要るもの、要らないもの

ここは、はっきり分かれます。

扱い
人工呼吸器・吸入器(ネブライザー)・酸素濃縮器(POC)・吸引器航空会社所定の診断書が必要
飲み薬、塗り薬、坐薬そのまま持ち込めます
自己注射器(インスリン・エピペンなど)持ち込めます
噴霧式の吸入薬(メプチンエアーなど)持ち込み・使用できます

JALの文言はこうです。

人工呼吸器や吸入器(ネブライザー)、携帯型酸素濃縮器(POC)や吸引器などの使用による医療行為が必要なお客さまは、JAL所定の診断書でご搭乗の適性を確認させていただきます。

JAL

吸引器が入っていることに注意してください。「うちは呼吸器じゃないから大丈夫」と思っていると、当日に困ります。

締め切りは、出発の48時間前

JALは受付期限を明示しています。国内線・国際線とも、便出発の48時間前まで。

診断書は主治医に書いてもらうものです。受診の予約から逆算すると、旅行の2〜3週間前には動き出していないと間に合いません。ここが、いちばん時間のかかる工程です。

用紙は各社のサイトからダウンロードできます。書式が決まっているので、病院の一般的な診断書では通りません。

電話で伝えることは、4つです

予約したあと、専用の窓口に連絡します。聞かれるのは毎回これです。

  1. メーカー名
  2. 製品名
  3. 型番
  4. バッテリーの種類(ここが危険物の判定に効きます)

機器の裏のラベルを写真に撮っておくと、毎回これで済みます。電話口で機器を探しに行かなくて済むので、最初の1回でやっておくのがおすすめです。

なお、事前に伝えてあっても当日カウンターでもう一度確認されます。ANAにそう書かれています。二度手間ではなく、そういう手順です。

当日のこと

空港には、国内線で60分前

両社とも、国内線は出発時刻の60分前、国際線は120分前を目安にしています。手続きは自動機ではなく、スペシャルアシスタンスカウンターなどの有人カウンターで行います。

保安検査は、ほかの人と同じです

免除にはなりません。JALの説明です。

ほかのお客さまと同じ内容、方法で行われます。必ずお一人ずつ金属探知機を通過いただきます。場合によっては接触検査が必要になる場合もございます

JAL

ただし、機器への影響が心配なときは、検査の前に係員に言ってください。ANAは「保安検査係員に保安検査実施前にお知らせください」と案内しています。通してしまってからでは遅いです。

先に乗せてもらえます

事前改札サービスを使ってください。搭乗口の係員に伝えると、いちばん初めに案内してもらえます。機器の設置に時間がかかるので、これは使ったほうがいいです。

機内で、客室乗務員は手伝えません

ここは期待しないでください。両社ともはっきり書いています。

客室乗務員は、応急処置の訓練を受けてはおりますが、医療機器の操作など、医療行為をすることは許可されておりません

JAL

ANAも「酸素濃縮器(POC)の操作は医療行為にあたるため、客室乗務員がお手伝いをすることができません」としています。介助に必要な物品も、自分で用意することになっています。

だから、機器を操作できる人が必ず隣に乗る必要があります。ここは付き添いの人数の話に直結します。

薬の持ち方

  • 国内線に液体物の制限はありません。栄養剤も水分も、そのまま持ち込めます(保安検査では中身を確認されます)
  • 何の薬か分かるものを持つ ANAは「お薬手帳、薬品のラベル、処方箋の写し、医師の診断書等」を挙げています
  • 機内で冷蔵はできません 「機内では薬剤のお預かりや冷蔵はできません。ご自身で保冷容器等のご用意をお願いします」(ANA)

保冷が必要な薬がある場合は、保冷容器を自分で持ち込む前提で考えてください。頼めばどうにかなる、ではありません。

新幹線のほうが、ずっと楽です

ここまで読んで大変だと思われたなら、行き先によっては新幹線を検討してください。医療機器を持って移動するなら、条件がまったく違います。

飛行機新幹線
電源使えませんN700Sは全席にコンセントがあります
診断書機器によって必要要りません
事前連絡48時間前まで(JAL)車椅子席の申込みのみ
荷物別枠で無料そのまま持ち込めます
途中で困ったとき座席から動けません多目的室があります

とくに電源です。バッテリーの残量を気にしながら数時間座っているのと、コンセントがあるのとでは、気持ちがまったく違います。

取り方は新幹線に車椅子・バギーで乗るに書きました。

よくある質問

座っていられない子でも乗れますか

乗れます。JALには「座位が保ちにくいお客さま」という専用の案内があり、ストレッチャーや簡易ベッドの案内も別に用意されています。あきらめる前に、専用デスクに聞いてください。

機器を置くために、隣の席を確保できますか

できます。というより、前の座席の下に入らない場合は、買うことになります。「置けなかったらどうしよう」ではなく「買う前提で、いくらか」を先に聞いてください。

LCCでも同じですか

会社ごとに違います。Peachの場合、酸素ボンベや自己注射器などの医療機器は機内持ち込みや使用に条件があり、必要な支援は出発予定日の3日前までにコンタクトセンターへ知らせるよう案内されています。

締め切りが大手より早いことに注意してください。運賃の比べ方は飛行機の障害者割引に書いています。

結局、いつ動き出せばいいですか

  • 3〜4週間前 主治医の受診を予約する(診断書の依頼)
  • 2週間前 航空券を取る。専用デスクに機器の情報を伝える
  • 48時間前まで 診断書を提出する(JALの受付期限)
  • 当日 60分前に空港。有人カウンターへ

診断書が要らない機器だけなら、もっと短くて足ります。まず「うちの機器は診断書が要るのか」を電話で確かめるところからです。

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この記事でわかること