障害のある子に、親が亡くなったあとのお金をどう残すか。生命保険、障害者扶養共済、特定贈与信託、相続の4つの方法と、成年後見制度の使いどころを、2026年10月時点の制度でまとめました。成年後見は、2026年6月に法律が変わっています。
我が家は、保険で残しています
我が家は、結局、保険かなと思っています。親が亡くなったあとのお金は、保険で残しています。成年後見制度は、メリットとデメリットがいろいろあると感じています。
ここから先は、制度の仕組みです。どれが合うかは家庭ごとに違うので、比べられるように並べます。この記事では、個別の保険商品や金融商品はすすめません。
先に知っておきたいこと:18歳で親が「代わりにできること」が変わる
2022年4月から、成年年齢は18歳です(法務省)。18歳になるまでは、親は親権者として、子の代わりに契約やお金の手続きができます。18歳を過ぎると、親であっても当然には代わりにできなくなります。
子が自分で判断して手続きするのが難しい場合、そこで使われるのが成年後見制度です。つまり「お金をどう残すか」と「残したお金を誰が管理するか」は、別々に考える必要があります。
お金を残す4つの方法
| 方法 | しくみ | 気をつけること |
|---|---|---|
| 生命保険 | 親が亡くなったときに保険金が出る | 受け取る子が自分で手続きできないと、代理人(成年後見人など)を求められることがある。契約前に保険会社へ確認 |
| 障害者扶養共済 (しょうがい共済) | 親が掛金を納め、親が亡くなったり重い障害を負ったりしたあと、子に毎月2万円(2口なら4万円)が生涯出る | 親は65歳未満で、健康状態の条件がある。子の障害の程度にも条件がある |
| 特定贈与信託 | 信託銀行などに財産を預け、子の生活費として定期的に渡してもらう。贈与税が一定額まで非課税 | 扱う金融機関でしか使えない。手数料は金融機関ごとに違う |
| 相続(遺言) | 相続税に障害者控除がある。遺言で誰に何を残すかを決めておける | 子が相続の手続きをできないと、遺産分割に代理人が要ることがある |
障害者扶養共済(しょうがい共済)
都道府県と指定都市が行っている、任意で入る制度です。福祉医療機構(WAM NET)の案内によると、2026年4月時点で次のとおりです。
| 受け取れる額 | 親が亡くなったり重い障害を負ったりしたあと、子に月2万円(2口なら4万円)。生涯続く |
| 掛金 | 1口あたり月9,300円〜23,300円。加入したときの親の年齢で決まる(35歳未満なら9,300円) |
| 掛金が要らなくなる時期 | 加入から20年たち、かつ親が65歳になったとき |
| 親の条件 | 65歳未満。その都道府県・指定都市に住所がある。健康状態の条件がある |
| 子の条件 | 知的障害、身体障害者手帳1〜3級、またはそれと同じ程度の永続的な障害。将来、独立して生活するのが難しいと認められること |
| 税金 | 掛金は所得控除の対象。受け取る年金は非課税 |
子が先に亡くなった場合は、加入期間に応じて3万円〜25万円の弔慰金が出ます。窓口は、お住まいの都道府県または指定都市の障害福祉の担当課です。
特定贈与信託
親などが信託銀行などに財産を信託し、障害のある子を受益者にする仕組みです。国税庁の案内では、贈与税がかからない上限は次のとおりです(2026年10月時点)。
- 特別障害者:6,000万円まで
- 特別障害者以外で、精神に障害がある方:3,000万円まで
信託するときに「障害者非課税信託申告書」を、信託銀行などを通じて税務署に出します。特別障害者には、身体障害者手帳1・2級の方や、重度の知的障害と判定された方などが入ります(国税庁)。療育手帳の判定のしかたは療育手帳とはに書きました。
相続税の障害者控除
障害のある子が相続するとき、相続税から次の額を差し引けます(国税庁、2026年4月1日現在の法令)。
| 区分 | 控除額 | 10歳の子の場合 |
|---|---|---|
| 一般障害者 | 85歳になるまでの年数 × 10万円 | 75年 × 10万円 = 750万円 |
| 特別障害者 | 85歳になるまでの年数 × 20万円 | 75年 × 20万円 = 1,500万円 |
本人の相続税から引ききれない分は、扶養義務者(親・きょうだいなど)の相続税から引けます。
成年後見制度:何をしてくれて、何が負担か
判断することが難しい人の代わりに、家庭裁判所が選んだ人が、お金の管理や契約をする制度です。本人・配偶者・4親等内の親族などが、本人の住所地の家庭裁判所に申し立てます(裁判所)。
| よいところ | 負担になるところ |
|---|---|
| 本人名義の預金の管理、施設やサービスの契約、保険金や遺産の受け取りを、代わりにしてもらえる | 家庭裁判所への報告が続く。財産を家族の判断で自由には使えない |
| 親が亡くなったあとも、法律上の代理人がいる状態にできる | 弁護士や司法書士などの専門職が選ばれると、報酬が続く(下の表) |
| 親族を候補者として申し立てられる | 誰を選ぶかは家庭裁判所が決める。候補者がそのまま選ばれるとは限らない |
かかるお金の目安です。
| 何に | 金額 |
|---|---|
| 申立て | 収入印紙800円+登記用の収入印紙2,600円+郵便切手(裁判所ごとに違う)。本人の鑑定が要る場合は、その費用もかかることがある |
| 専門職の後見人の報酬 | 月2万円が目安。管理する財産が1,000万円を超え5,000万円以下なら月3万〜4万円、5,000万円を超えると月5万〜6万円(横浜家庭裁判所「成年後見人等の報酬額のめやす」2011年4月) |
報酬は、家庭裁判所が事情を見て決めます。表はあくまで目安です。
2026年6月に法律が変わりました(施行はまだ先)
成年後見制度を見直す「民法等の一部を改正する法律」が、2026年6月17日に成立し、6月24日に公布されました(法務省)。おもな中身は次のとおりです。
- 「後見」と「保佐」をなくし、「補助」の制度にまとめる
- まとめて全部ではなく、必要な行為ごとに権限を付ける
- 必要がなくなったら、終わらせられるようにする
- いま後見や保佐を使っている人が、新しい制度へ移るための決まりもある
これまでは、一度始めると判断能力が回復しない限りやめられないことが、大きな負担と言われてきました。そこが変わります。
ただし施行は、公布から2年6か月以内に政令で決める日です。2026年10月時点では、施行日はまだ決まっていません。これから使い始める場合は、施行の前後で手続きが変わることがあります。相談するときに、施行日の見通しも聞いてください。
まず、どこに何を聞くか
| 知りたいこと | 聞く先 | 聞くこと |
|---|---|---|
| しょうがい共済 | 都道府県・指定都市の障害福祉の担当課 | 自分の年齢での掛金、子が加入の条件に当たるか、健康状態の告知の中身 |
| 成年後見 | 市区町村の成年後見の相談窓口(名前は自治体で違う)、家庭裁判所 | 18歳になったときに何が必要か、親が候補者になれるか、法改正の施行の見通し |
| 特定贈与信託 | 扱っている信託銀行など | 手数料、子への渡し方(毎月の額)、特別障害者に当たるか |
| 相続税 | 税務署、税理士 | 障害者控除の額、手帳の等級での区分 |
成年後見制度の全体は、厚生労働省の成年後見はやわかりにまとまっています。
今日できることは1つです。お住まいの都道府県(指定都市なら市)の障害福祉の担当課に電話して、しょうがい共済に今の年齢で入れるか、掛金がいくらかを聞く。掛金は加入したときの年齢で決まるので、早いほど低くなります。
よくある質問
子が18歳になったら、すぐ成年後見が必要ですか?
必ずではありません。必要になるのは、本人名義の契約や財産の手続きを、本人ができないときです。何をする予定があるかで変わるので、市区町村の相談窓口で聞いてください。
親が成年後見人になれますか?
申立てのときに、親を候補者として書けます。ただし、誰を選ぶかは家庭裁判所が決めます。
しょうがい共済の年金に税金はかかりますか?
受け取る年金は非課税です。親が払う掛金は所得控除の対象です(WAM NETの案内、2026年4月時点)。
出典(2026年10月時点で確認)
- 法務省「民法等の一部を改正する法律」(成年後見及び遺言の制度の見直し)について 令和8年法律第45号
- 法務省「民法(成年年齢関係)改正 Q&A」
- WAM NET「しょうがい共済制度のごあんない」
- 国税庁「障害者と税」/No.1160 障害者控除/No.4167 相続税の障害者控除
- 裁判所「後見開始」/横浜家庭裁判所「成年後見人等の報酬額のめやす」
- 厚生労働省「成年後見はやわかり」
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