特別支援学校は、視覚障害・聴覚障害・知的障害・肢体不自由・病弱の子のための学校です。小学部・中学部の1学級は6人が基準で、通学が難しい子には先生が家や病院へ来る訪問教育もあります。医療的ケアと保護者の付添いの実情、通学費などを補助する就学奨励費を、文部科学省の資料をもとに2026年10月時点でまとめました。
特別支援学校は、5つの障害を対象にした学校
特別支援学校の対象は、視覚障害・聴覚障害・知的障害・肢体不自由・病弱(身体虚弱を含む)の5つです。幼稚園・小学校・中学校・高校に準じた教育に加えて、障害による学習上・生活上の困難を克服して自立するための指導(自立活動)を行います。
学校ごとに、どの障害を対象にするかが決まっています。住んでいる地域でどの学校が学区になるかは、市区町村の教育委員会で確かめます。
| 学部 | 1学級の人数の基準 |
|---|---|
| 小学部・中学部 | 6人 |
| 高等部 | 8人 |
| 障害を2つ以上あわせ持つ子の学級(重複障害学級) | 3人 |
人数は文部科学省「特別支援教育の現状」の記載です(2026年10月時点)。地域の小学校の中にある特別支援学級は8人が基準なので、それより少人数です。特別支援学級との違いは特別支援学級とはに書きました。
どの程度の障害が特別支援学校の対象になるかは、学校教育法施行令の表で決まっています。表は障害のある子の就学相談に載せています。ただし表に当てはまるかどうかだけで決まるのではなく、本人と保護者の意向を聞きながら、市区町村の教育委員会が総合的に判断します。
通学が難しい子には、先生が家に来る「訪問教育」
障害や病気のために学校へ通うのが難しい子には、特別支援学校の先生が家・病院・施設へ出向いて授業をします。これが訪問教育です。学習指導要領では「障害のため通学して教育を受けることが困難な児童又は生徒に対して、教員を派遣して教育を行う場合」と書かれています。
訪問教育の子も、その特別支援学校に在籍する子です。授業の時間数は、学習指導要領で「実情に応じた授業時数を適切に定める」とされていて、週に何回・何時間来てもらえるかは学校と子どもの状態で違います。
文部科学省の調査では、2025年5月1日時点で、特別支援学校に在籍する医療的ケア児8,735人のうち1,781人が訪問教育を受けています。
医療的ケアは、学校で誰がするのか
たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアが必要な子が、学校で誰にケアをしてもらっているか、親の付添いがどれくらい要るかは、文部科学省の「令和7年度 学校における医療的ケアに関する実態調査」(2026年7月公表)で分かります。
ケアをする人
| 特別支援学校でケアをする人 | 人数(2025年5月1日時点) |
|---|---|
| 医療的ケア看護職員(看護師・保健師・助産師・准看護師) | 3,654人 |
| 認定特定行為業務従事者(教員) | 4,147人 |
| 認定特定行為業務従事者(教員以外) | 285人 |
認定特定行為業務従事者は、所定の研修を受けて、たんの吸引や経管栄養の一部を行えるようになった人です。看護職員の多くは非常勤で、直接雇用の常勤は245人でした。
特別支援学校で行われているケアで多いのは、たんの吸引(鼻腔内)5,456件、たんの吸引(口腔内)5,448件、経管栄養(胃ろう)5,374件、たんの吸引(気管カニューレ内部)3,417件です(延べ件数)。
保護者の付添いは、半分が「登下校だけ」
同じ調査で、特別支援学校に通学する医療的ケア児6,954人の、2025年度の始業から夏休み前までの付添いの状況が出ています。
| 付添いの状況 | 人数 | 割合 |
|---|---|---|
| 付添いなし | 3,190人 | 45.9% |
| 登下校のときだけ付添い | 3,502人 | 50.4% |
| 学校生活と登下校の両方で付添い | 251人 | 3.6% |
| 学校生活のときだけ付添い | 11人 | 0.2% |
登下校で付添いが要る理由でいちばん多いのは、「スクールバスに同乗する医療的ケア看護職員が確保できないため」で、1,782件(47.5%)でした。学校の中より、通学のほうが付添いの壁になっています。スクールバスに車いすで乗るときのことは子ども用車いすとスクールバスにまとめています。
学校生活で付添いをしている262人の理由は、「看護職員などはいるが、学校・教育委員会が希望しているため」が109件(41.6%)で最も多くなっています。
通学費や学用品には「就学奨励費」
特別支援学校や特別支援学級に通う子の保護者は、特別支援教育就学奨励費を受けられます。根拠は「特別支援学校への就学奨励に関する法律」(1954年)です。
| 項目 | 文部科学省の説明(2026年10月時点) |
|---|---|
| 対象 | 特別支援学校や、小・中学校の特別支援学級などに通う子の保護者 |
| 何に出るか | 通学の交通費、修学旅行費、学用品費、寄宿舎費など |
| いくら出るか | 保護者の経済的な負担能力に応じて、全部または一部 |
| お金の出どころ | 国が2分の1を補助し、残りを都道府県・市町村が負担 |
世帯の収入でどの区分になるか、区分ごとにどの費目がいくら出るかは、自治体と年度で違います。申請の方法も自治体ごとに違うので、在籍する学校か、学校を置いている教育委員会に聞いてください。ほかに使える手当や制度は制度とお金にまとめています。
見学で聞いておくこと
特別支援学校は、学校によって通学の手段も、医療的ケアの体制も違います。見学や就学相談のときに、次のことを聞いておくと比べやすくなります。
| 聞くこと | なぜ聞くか |
|---|---|
| スクールバスの停留所はどこか、乗れる条件はあるか | バスに乗れないと毎日の送迎になる |
| バスに看護職員が乗るか。乗らない場合、親の付添いや自家用車での送迎が要るか | 登下校の付添いの理由で最も多いのが、バスの看護職員不足 |
| 学校で医療的ケアをするのは誰か。最初の何日かは親の付添いが要るか | 看護職員がいても、学校側が付添いを求める例がある |
| 重複障害学級はあるか。今の学級の人数と先生の人数 | 基準は6人・重複障害学級は3人。実際の手の届き方は人数で変わる |
| 訪問教育になった場合、週に何回・何時間か | 時間数は学校が実情に応じて決める |
| 下校の時間と、放課後の預け先 | 放課後等デイサービスの送迎が学校まで来るかも確かめる |
放課後の預け先は放課後等デイサービスとは、家で受けられる支援は医療的ケアが必要な子と暮らすにまとめています。
地域の学校とのつながりと、転学
特別支援学校に通っていても、住んでいる地域の小学校・中学校とつながる仕組みがあります。学校行事や部活動などを合同で行う「交流及び共同学習」は、学習指導要領で機会を設けることになっています。東京都では、地域の学校に副次的な籍を置く「副籍」という制度があります。くわしくは副籍制度とはに書きました。
就学のときに決めた学びの場は固定ではありません。文部科学省は、発達の程度や適応の状況を見ながら柔軟に転学できるとしています。特別支援学校から地域の学校へ、地域の学校から特別支援学校へ、という見直しもあります。
よくある質問
特別支援学校は1クラス何人ですか?
小学部・中学部は6人、高等部は8人、障害を2つ以上あわせ持つ子の学級は3人が基準です(文部科学省、2026年10月時点)。実際の人数は学校ごとに違います。
特別支援学校に通うと、親の付添いは必要ですか?
医療的ケアのある子の場合、2025年度の調査では、特別支援学校に通学する子の45.9%は付添いなし、50.4%は登下校のときだけ付添いでした。学校によって違うので、見学のときに聞いてください。
訪問教育とは何ですか?
通学が難しい子のために、特別支援学校の先生が家・病院・施設へ出向いて授業をする仕組みです。週に何回・何時間かは学校が子どもの状態に応じて決めます。
特別支援学校の通学費は出ますか?
特別支援教育就学奨励費で、通学の交通費などの全部または一部が出ます。世帯の収入によって出る額や費目が変わり、基準は自治体と年度で違います。
出典(2026年10月時点で確認)
- 文部科学省「特別支援教育の現状」
- 文部科学省「令和7年度学校における医療的ケアに関する実態調査結果」(2026年7月)
- 文部科学省「特別支援教育就学奨励費負担等 内容の説明」
- 文部科学省「特別支援学校小学部・中学部学習指導要領 第1章 総則」
- 文部科学省「障害のある児童生徒等に対する早期からの一貫した支援について(通知)」 2013年10月4日 25文科初第756号
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